出雲市の中小・小規模企業を取り巻く問題点

商工支援団体、金融機関、市内中小・小規模事業者等により構成される「出雲市地場中小企業・小規模企業振興会議」によって、平成29年7月より出雲市の中小・小規模企業を取り巻く状況が話し合われ、多くの数値分析などを踏まえて、次の項目が課題がクローズアップされました。

  • 高校卒業時の市外流出を抑えるとともに、市外進学者の卒業時の市内中小・小規模企業への就職率を増加させる必要があります。
  • 市内中小・小規模企業の人材不足は顕著であり、人材確保対策を行う必要があります。
  • 高齢者・女性・障がい者の雇用を増加させるとともに、多様な働き方ができる企業を増やす必要があります。
  • 従業員の離職防止に向けて、働く環境の改善が必要であり、経営者の意識・行動改革がその対策のひとつとして挙げられます。
  • 市内の雇用の場を確保し経済活動を持続させるため、生産性向上等への対策のほか、経営基盤強化による事業継続、円滑な事業承継を後押しする必要があります。
  • 親族や社員への事業承継のほか、第二創業(後継者が業態転換や新分野進出等を行うこと)、企業内起業(企業内で新しいビジネスを立ち上げること)等、企業の実態に沿った事業継続のあり方について、企業自らの変革に加え、多様な事業継続を模索できる環境が必要です。
  • 廃業を少なくするための対策を進めるとともに、創業支援を行い、企業数の維持・増加を図っていく必要があります。
  • IT技術の導入による効果や導入の必要性を明確に示すことが必要です。その上で導入に向けた資金確保・人材育成・研修活動等への支援を進める必要があります。
  • 市内企業の製造品やサービスの研究開発を推進するとともに、産学官連携を推進する必要があります。
  • 市内企業の販路開拓支援をより充実させるとともに、企業自らがマーケティング力を向上させる必要があります。

「出雲市中小企業・小規模企業振興計画」より抜粋

これらの中から、今後の施策として強く推進すべきと考えるのは、「若者の市外への流出防止」です。しかし、ことは、市内に生涯の働き場とする魅力がない限り実現できません。従って「起業・創業、第二創業、企業内創業」等のチャレンジを止めず活力を生み出して行く必要があると考えます。このことによって多様な働き方に対応する地域を積極的に後押しできると考えています。

視点:出生数の減少は依然としてつづき、若者の県外流出にもはどめがかかっていません

  • 未婚・晩婚への対応が求められています
  • 働く場所の確保と子育てしながら働くための環境の整備が求められています
  • 地域の活力(出雲ブランド)を更に高める政策が必要です

 

出雲市中小企業・小規模企業振興計画に盛り込まれた基本方針

基本方針1事業発展(経営基盤強化・成長促進)の支援

1-1 産学官金連携の推進
1-2 生産性向上に向けたIT化等の推進、設備投資への支援
1-3 販路開拓の推進
1-4 市内中小・小規模企業への金融支援
1-5 IT産業の活性化
1-6 ものづくり(製造業)企業の支援
1-7 地域商業の支援
1-8 地域内での資金循環の促進
1-9 商工支援団体の支援
1-10 関係機関の役割分担と連携強化

基本方針2人材の育成・確保

2-1 県外学生・UIターン就職希望者の市内中小・小規模企業への就職支援
2-2 市内中小・小規模企業の人材確保支援
2-3 子ども・若者への魅力発信
2-4 経営者の意識・行動改革と多様化する働き方への対応

「出雲市中小企業・小規模企業振興計画」より抜粋

これらの基本方針のなかで注目したいのは、「販路開拓の推進」「地域商業の支援」「地域内での資金循環の促進」などです。

大型商業施設、ネットショップ、張り巡らされたコンビニエンスストアやドラッグストアなどによって、地域の産物はその流通に乗りにくくなっています。また、これまで商業活動をになってきた小売店、卸売店も全体の経済活動における比率を落としてしまいました。
売上の値低下や後継者不在で小売・卸売の廃業が激増している状況です。

これに大きく歯止めをかける政策は、今のところ正解が見つかっていないのが現状です。ただ小さくとも元気な地域経済振興へのチャレンジを止めるわけにはいきません。市の財政にとっても、地域内での経済循環を促進することは大変重要な要素となります。

視点:地域産業振興、地域経済循環への取り組みに弱さがあります

  • 個人消費の市外流出を出来るだけ食い止め、地域経済を循環させる施策が必要です
  • 第一次産業(農林水産業)振興は地域外経済からの流入をおこす
  • 小さくとも元気な地域経済振興へチャレンジし活力を生む必要があります

 

参考