湯浅啓史 一般質問 2020年3月29日「出雲市の人口ビジョンについて伺う」全文(議事録より)
湯淺啓史
まず初めは、出雲市の人口ビジョンについてお聞きしたいと考えていますが、質問に先立ちまして、先月お亡くなりになりました長見総合政策部長のご生前のご功績に感謝申しあげるとともに、御霊の安らかならんことをお祈り申しあげます。
今回の出雲市の人口ビジョンについてという質問は、長見部長がご存命の折に、直接ご本人に申し入れをさせていただいていた事項であります。昨年の12月議会を終え、第2期総合戦略の基礎となる人口ビジョンに少し疑問と不安を抱いていますということも伝えさせていただいておりました。その際には、枝葉末節に落ちるなという部長らしいアドバイスもいただいておりました。その点に気をつけながら、質問を進めてまいりたいと思います。
「まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン、第2期総合戦略」につきましては、以前の一般質問でも何回か取り上げさせていただいております。その折にも申しあげましたが、地方創生のかけ声のもと、日本全国各地で策定された総合戦略について、なぜそれに人口ビジョンをつける必要があるのかをよくよく考えないといけないと、そう感じております。
補助金の要件だからという、そういう考えではなく、人口の動向は地方自治体のあらゆる計画の基本となるものだという認識に立つ必要があると考えるからです。さらに言うならば、希望も含めた目標である人口ビジョンをつくる上では、実情を見据えた人口動向の予測を踏まえてなければならないはずです。
そこで以下の質問をいたします。
昨年12月に「出雲市まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン・第2期総合略」が示され、目標人口がさまざまに分析・推計された結果、2060年における目標人口が15万人台と設定をされたところです。
2060年をどう見通すかはなかなか難しい話であろうとは思います。しかしながら、どのようなグラフをたどることになるとしても、人口は残念ながら減少していくという予測は免れない、そのように思っております。
人口減少社会に入っているという認識を持ちつつ、行政運営をしていただく必要がありますが、特に生まれる子どもの数については、大変重要な要素だと考えております。人口ビジョンの中で出生数の今後5年間の目標は、5年間で8,000人の出生数ということが掲げられているようですけれども、出生数はどのような予測でしょうか。どのような予測に立ってこの目標が立てられているのか、お伺いします。
次に、年齢区分による分析についてです。
人口ビジョンの中で、年齢区分は主に3区分となって分析・推計されています。年少人口、生産年齢人口、老年人口の3区分です。このことは、「まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン 第2期総合戦略」が示された12月議会最終日の全員協議会の場でも議論があったところです。老年人口は65歳以上を一くくりにするのが一般的ですけれども、現実的には老年人口をさらに区分し、前期・後期と区分して視覚化した方がさまざまな政策立案に資すると考えます。そのような分析はされているのでしょうか、お伺いいたします。
伊藤副市長
まず、1点目ですが、出生数はどのような予測なのかというご質問をいただきました。
本市では、まち・ひと・しごと創生「第2期総合戦略」の策定に伴い、人口の将来展望を示した人口ビジョンを改定することとしており、改定後の人口ビジョンに基づきましてお答えをしてまいりたいと思います。
人口ビジョンにつきましては、国立社会保障・人口問題研究所の推計方法に準拠いたしました将来人口推計と、市が目指すべき人口の将来展望である目標人口推計という二つの方法を行っております。
これらの推計は、いずれも平成27年(2015)国勢調査人口を基準人口として、自然増減、社会増減に関する将来の仮定値を当てはめる方法をとっております。
将来人口推計では、出生に関する仮定値が、平成27年(2015)国勢調査時点のまま推移すると設定しており、今後10年間の出生数は2020年から2025年までの5年間で約7,000人、2025年から2030年までの5年間で約6,800人と推計をしているところでございます。
一方、目標人口推計では、国の想定値を踏まえ、今後の施策展開により、合計特殊出生率が2025年に2.0、2030年に2.1に上昇すると仮定しており、出生数は2020年から2025年までの5年間で約8,000人、2025年から2030年までの5年間で約8,500人と推計をしているところでございます。
人口推計の結果から、中長期的な人口の維持には、先ほど議員のご指摘にもありましたように、出生数というのは大変重要なことと考えており、引き続き若者の定住や子育て環境の充実に努めていく考えでございます。
次に、年齢区分についてのご質問がございました。先ほどお話がありますように、人口の年齢構造の変化を把握するために、三つの区分で分析・推計をしているところでございます。
一つは、ゼロ歳から14歳までの年少人口、15歳から64歳までの生産年齢人口、それと老年人口として65歳以上というものを基本として年齢の構造上の推計をしているということでございます。ただ、12月議会におきまして、湯淺議員からいただきました意見を踏まえて、このたび年齢3区分別人口に75歳以上人口のデータを加えて表やグラフを作成したところでございます。
本市では、65歳以上の高齢者人口の半数以上を75歳以上が占めておりまして、その動向が医療や介護などのサービスに与える影響もあることから、こうしたデータも注視しながら、今後の施策に反映していきたいというふうに考えているところでございます。
以上、答弁といたします。
湯淺啓史君
ありがとうございました。何も言うことはございませんと言いたいところです。本当は8,000人という目標についてどうお答えになるのだろうというところが非常に焦点だったわけですけれども、予測としては5年間で7,000人が予測と。だけれども目標は8,000人に置いておくんだというお答えだったように私は捉えました。ぜひそういった認識のもとに、目標値にいかに近づけていくのかという施策を展開をしていただきたいと思います。
それから、お答えの中で、今回は合計特殊出生率のお話がなかったということで、この点もないほうがいいのかなというふうに思いました。と申しますのが、昨年12月議会で渡部議員さんが同様の質問を、この人口予測のところで出生数、特に合計特殊出生数のところで市長に質問をなさっておりまして、そこのやりとりの中で、合計特殊出生率が上がるという予測もどうかなあという実感も持ちましたし、またそれが上がったところで、また分母というものをどうやって維持していくのかという話もあるしという気がしたものですから、あまりそこにまち・ひと・しごとの人口ビジョンが固執してしまうと、どうかなという気持ちもしておりました。できれば、その出生数というところをしっかりと推計をしていただいて、それに対する目標はこれだけあるという書き方が一番いいんだろうと。それに対してこういう施策をしますと。まさに先ほど副市長がおっしゃったとおりだと思いますので、ぜひそのような査収の人口ビジョンに仕上げていただきたいというふうに思っております。
最後に繰り返しますけれども、人口動向は地方自治体のあらゆる計画の基本となるという認識に立つ必要があると考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。