湯浅啓史 一般質問 2020年3月29日「国際交流を推進する取り組みについて」全文(議事録より)

湯淺啓史

国際交流を推進する取組みについて質問を行います。

この質問をする前に、まず、これまでの出雲市の国際交流事業を進めてこられました全ての方々、行政、民間を問わず国際交流事業に携わられた全ての方々のご努力に心より感謝を申しあげたいと思います。

先月、私は出雲市議会の国際交流推進事業によって、アメリカ・サンフランシスコ州のサンタクララを訪問させていただきました。

市議会の事業とは別に、島根県立出雲高等学校が進めていらっしゃるサンタクララ海外研修とジョイントする形をとり、部分的に同日程とすることで、生徒の皆さんがお世話になるホームステイ先の方々との交流や生徒の皆さんが現地高校と進めていらっしゃる交流研修の現場にも立ち会わせていただきました。議員の事業としても交流・研修の両面から得がたい大変有意義な研修事業となったということをご報告をさせていただきます。

そのうえで冒頭申しあげましたように、国際交流事業が一日ではならないとの感想を率直に受けたところです。過去からの一つひとつの交流の積み重ねがあるからこそ、今回私たちがうかがっても、レクチャーをしていただいたり、ディスカッションをしていただいり、視察をセッティングしていただいたり、交流への参加をさせていただいたり、そういったことが可能でありました。改めて先駆者の皆様方に感謝を申しあげたいと強く思ったところです。

さて、国際交流進め、文化、風習、社会構造などが異なる国々とのきずなを深めていくことは、地域社会にとって重要な課題だと考えております。

特に、将来を担う若者が積極的に海外へ出て実地体験することは、個人のレベルを超え、地域の将来像を変革する可能性を秘めているとさえ考えます。ぜひ積極的に取り組む必要があると考えています。

そこで、出雲市が国際交流や研修等のために人材を海外へ派遣する事業(プログラム)はどのようなものがあるか、伺います。

また、出雲市が行うもの以外で、国際交流・研修等のために人材を海外へ派遣する事業は、どのようなものがあるのか、お伺いします。

よろしくお願いいたします。

 

伊藤副市長

国際交流の推進に関する取組みについてということでご質問いただきました。2点いただきましたので、お答えをさせていただきます。

出雲市が国際交流や研修等のために人材を海外へ派遣する事業ということでございますけども、本市と友好関係にございます海外の都市は、アメリカ・サンタクララ市、中国・漢中市、フランス・エビアン市、フィンランド・カラヨキ市、アイルランド・ダンレラリー・ラスダウン市の5都市でございます。

そのうち姉妹都市のアメリカ・サンタクララ市と友好姉妹都市のフィンランド・カラヨキ市へは毎年中学生・高校生を相互訪問という形でありますが、派遣をしているところでございます。

サンタクララ市へは出雲国際交流協会と、カラヨキ市へは出雲フィンランド協会との共催事業により、それぞれ中学生10名、高校生2名の計12名を派遣しておりまして、ホームステイによる滞在期間中、学校訪問や、行政、企業、大学等で研修を行っているところでございます。

帰国後の生徒達からは「人の温かさを感じた」「家庭生活や学校での体験を通して、日本との違いなどさまざまな発見や驚きがあった」「この体験を学校や地域へ伝えたい」というような報告がございました。

最近では比較的容易に海外へ仕事や旅行で出かけることも多くなりましたけども、この派遣事業を継続することで、特に将来を担う子どもたちが国際的視野を広め、現在出雲市が進めている多文化共生推進につながる相互理解を深めることができるものと考えているところでございます。

2点目のご質問で、市が行うもの以外での国際交流等で人材派遣の事業というものについて、どのようなものがあるかというご質問もいただきました。

市が把握しておりますもので、学校関係につきましては、島根県立大学出雲キャンパスが韓国へ、出雲高校がアメリカ・サンタクララ市と、シンガポールへ、それから出雲北陵高校がヨーロッパへの海外研修、また北陵中学校がオーストラリアへそれぞれ毎年、または数年置きに海外研修を行っていると伺っております。

また、学校以外につきましては、今年度は社会情勢もあり実施されておりませんが、地域の国際交流団体が小学生を、またスポーツ団体が中学生を韓国へ派遣するプログラムもあるということを承知しております。

 

湯淺啓史

ぜひ市の取組みは継続、そしてまた強化をしていただきたいというふうに思っております。

サンタクララ市へまいりまして非常にある面ショックを受けて帰ったというのが実際のところです。ここでGDPの話をするというのは筋違いかも分かりませんが、日本のGDPは世界3位であり、経済大国であることは変わりないというところですが、いつの間か中国との差は2倍を超え、3倍、中国のほうが経済力のある国になってしまいました。一人あたりのGDPで換算しますと、日本は何と26位に甘んじるという状態。そしてまた、経済成長率というもので比較をするというデータがあるそうですけれども、これで世界ランキングをつけますと、何と170位という状態であるそうです。本当に焦りに似た感覚を覚えて帰ったというのが実際のところす。

私がここでGDPを論じてもどうなるのかということで据え置かれるのか、またシリコンバレーと出雲を比較してどうなるんだと捨て置かれるのか、私自身が焦って一体どうなるんだと捨て置かれるのか、それは皆さんの判断にお任せをしたいと思いますが、事実だけをご紹介させていただくと、サンタクララ市だけではなく、周辺市ということでお聞きください。

周辺の人口は約130万人、周辺労働力は約110万人、周辺世帯数は約42万世帯、2020年の予測平均世帯収入は2,200万円、ミレニアル世代と言われる1980年から2000年代初等生まれ、20代、30代という方々が約30%を占めている。大学卒業者が56%を占めている。そのような地域であります。そしてまた、ご存じのように世界の名だたる有名企業が集っており、GAFAと呼ばれる巨大企業がそこに存在をしている。そのようなところと比べてどうなるんだということよりも、この差を縮める努力は必要じゃないですか、現地へ行って学ぶ必要があるんではないでしょうか、そのように思って帰った次第です。

そしてまた、もう一つ大きな収穫としてあったのは、やっぱりシリコンバレーと呼ばれている地域を支えているのは、活気のある人材の交流だということを感じて帰りました。アメリカの中でも一番人種の多い地域だそうで、またアジア圏の人口比率の非常に多いところであるそうです。世界のさまざまな国からそれこそ優秀な人材を集めている地域であります。

そしてまた、その優秀な人材を供給し続けているスタンフォード大学、これの存在も非常に大きい、そのように思いました。スタンフォード大学では、一番優秀な層は自ら起業をするそうです。そして、2番目に優秀な層はそのスタートアップに参画をするそうです。そして、3番の層は先ほど言いましたGAFAと呼ばれるような企業に就職をするそうです。

また、話が飛ぶようですけれども、地方自治の役割とは一体何だろうかと考えたときに、改めて地方自治法に返りますと、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を主体的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとすると規定をされています。

そこで考えます。この住民の福祉を実施するためには、そのための財源が必要です。強い経済力が必要です。また、それを主体的、総合的に実施する人材が不可欠であります。このシリコンバレーと呼ばれる地域では、住民の福祉を推進するのに十分な経済力があり、また、活気あふれる優秀な人材が主体的、総合的に地域を担っているとは言えないでしょうか。

世界の最先端との距離が開きつつある今、大いに若者を海外の最先端へ触れさせて、その刺激を受けて帰らせる必要があると思います。そして、世界で通用する世界標準の人材を育てていく必要があると考えます。それは、国がやればよいということではなく、地域こそやるべき事柄だと考えております。

質問という形はとりませんが、ぜひ国際交流事業、特に若者を海外へ派遣する事業というものを継続していただき、さらに充実させていただき、この地域の未来を担っていただく人材を育ていただきたい、そのように思って、この質問は終わらせていただきたいと思います。