「まちづくり」という言葉は、使う側にとっては誠に便利な言葉であろうと思います。また、なんだか良く分からないまま「まちづくり」を使っているケースにも多々遭遇します。
地域の将来像を包括的に指す場合、市の基本施策である場合、都市計画である場合、道路整備を指すこともあり、公共施設の建設を指す場合、土地区画整理を指す場合、地域の団結を高める運動である場合、高齢者が健康で暮らす事を意味したり、コミュニティセンター単位の自治活動を指したり、暮らしの安心や安全を高める活動、企業誘致や人材確保、人財育成や地域教育など、など、「まちづくりの推進」はあらゆる分野を内包してしまいます。
この言葉を受け取る側はどうでしょう?皆が「まちづくり」にそれぞれの思い込みを込めたとしても責められません。そして、それぞれが受け取った思い込みや解釈、受け取り方を持ちつつ議論しようものなら、混乱は増すばかりです。
2018年の3月議会で、会派代表質問の機会をいただいた際に、市長施政方針に使用されている10ヵ所(10種類)の「まちづくり」の曖昧さを指摘し、上のように発言しました。
「まちの発展」や「地域の発展」などの言葉が政策としての「昭和のビジネスモデル」を引きずっているのと同様に、この「まちづくり」という言葉にも、現実を直視しない願望を込めた政策、論点をぼかすまたは他へのすり替えを誘導するケースが多いのです。意識していようがいまいがそれは行われていると言わざるを得ません。
「まちづくり」という言葉が使われている行政の文章に出会ったら、慎重にその内容を吟味し、他者との議論や検証をはじめる前に、その意味の確認からはじめなければならないと考えます。
次ページ → 2018年2月23日 会派代表質問より市長施政方針における用語の定義について(部分掲載)