各自治体が保有する公共施設等について、全国的にその維持管理が、特に財政的な面から問題になっています。
国は、このような状況から、公共施設の整理や転用、長寿命化を促す意味で、各自治体に公共施設の管理計画の策定を求めています。
その背景には、昭和40年代から50年代の高度経済成長期に数多く建設された公共施設が、更新期を迎える事、また、平成の大合併で合併した自治体に於いて、旧自治体の施設をそのまま維持している状況などがあります。
これを総合的に管理し、地方自治体の財政負担をできるだけ縮減させる事が今後の課題となっており、財政措置を設けながら総合管理計画の策定を求めている状況です。
財政措置は、結果として地方交付税に算入される地方債の発行が主なものですが、施設を除却する際にも起債が認められ(地方交付税算入はなし)、老朽施設や余剰施設の整理を行いやすい措置が執られています。
出雲市では、平成27年3月に策定した「出雲市公共施設のあり方指針」において、203施設を検討対象とし、廃止又は使用中止/民間譲渡/地元移譲/管理改善/用途変更など、各施設の具体的な方針を盛り込んだ指針が示されています。
今回の総合管理計画では、今後10年間に、小中学校及び幼稚園、市営住宅、医療施設、供給処理施設(上下水道関連 施設)を除く公共施設の延床面積の20%削減を目標として掲げています。
既に示された指針に於いて、廃止又は使用中止/民間譲渡/地元移譲等となる施設の延べ床面積が、約14%分に加え、平成28年度から解体に着手する施設の面積が約2%分であり、目標の20%には達しません。
今後、10年間で延べ床面積20%削減が目標であるのなら、あと6%分の面積を削減しなければならず、現在議論に登っていない施設も対象に検討を進める必要があります。
平成28年度から解体に着手する施設
- 旧出雲衛生処理場
- 旧国富コミュニティセンター
- 旧市営有原住宅
- 旧市営小山住宅
- 旧市営直江東住宅
- 旧健康文化センター
- 旧旭丘中学校(校舎・屋体・プール)
- 国富小学校プール
- 旧荘原幼稚園
- 大社野外劇場
計画策定の背景(国(総務省)の要請)
- 過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、地方公共 団体の財政は依然として厳しい状況にあること。
- 人口減少等により今後の公共施設等の利用需要が変化していくこと。
- 市町村合併後の施設全体の最適化を図る必要性があること。
各地方公共団体が、公共施設等の全体を把握し、長期的視点に 立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行う必要がある。
策定のメリット(財政措置)
事項 | 財政措置 |
---|---|
公共施設等の除却 | 地方債の充当を認める特例措置 【充当率等】地方債充当率75%・交付税算入なし |
公共施設の集約化・複合化 | 公共施設最適化事業債措置 【充当率等】地方債充当率90%・交付税算入率50% |
公共施設の転用 | 地方債措置(地域活性化事業債の拡充) 【充当率等】地方債充当率90%・交付税算入率30% |
計画の概要
計画期間
平成28年度から平成57年度 (30年間)
対象施設
- 公共建築物(学校・庁舎)
- インフラ資産(道路・橋梁・上下水道管路等)
総合的な取組の基本方針
- 保有量の適正化
- 施設の安全性の確保と長寿命化
- 維持管理経費の縮減
- 民間活力の導入
公共建築物の削減目標
期 間 | 目標数値等 | 削減対象施設 |
---|---|---|
平成28年度~平成37年度 | 延床面積の2割削減 | 行政系施設、スポーツ・レクリエーション系施設、市民文化系施設、産業系施設、社会教育系施設、保健・福祉施設、 公園、その他 |
平成38年度~平成57年度 | 平成28年度~平成37年度の進捗状況等を勘案し、再度、削減の目標値を検討 |
○小中学校及び幼稚園、市営住宅、医療施設、供給処理施設(上下水道関連 施設)は除く。
○インフラ資産の削減目標は設定しない。
出雲市公共施設等総合管理計画(案)より抜粋
1.計画の策定にあたって
本市は、平成 17 年に2市4町が合併して誕生し、平成 23 年には新たに1町と合併して人口 171,845 人、市域は東西約 30km、南北約 39km、総面積 624.36平方キロメートルとなりました。
公共建築物については、合併前の7市町が保有する施設をほぼそのまま引き継いだため、多くの建築物を保有することとなり、特にスポーツ施設、文化施設、日帰り温泉などは類似する施設が数多くあります。そして、これら多くの施設を維持管理していくために、年間約50億円(普通会計分)の費用を要しています。また、道路などのインフラ資産についても、広い市域を網羅しており、その保有量も相当量にのぼっています。
本市が保有する公共施設等の中には、整備後相当の年数が経ち、老朽化や耐震性の問題から安全面を憂慮する施設もあり、これらの改善のため、大規模改修及び建替、更新や長寿命化の取組が必要となっている施設もあります。
こうした施設の現状がある中で将来の状況を勘案すると、少子高齢化の進展や人口の減少及び人口構造の変化、公共施設等に対する住民ニーズの変化が想定されること、また、今後の財政運営では、普通交付税の合併特例措置の縮減による段階的な減額、扶助費等の増加など厳しさを増す見込みであることから、公共施設等の管理にはこれらを考慮する必要があります。
こうしたことから、公共施設等の保有量や大規模改修及び建替、更新の将来見通し等を分析し、公共施設等の保有量の適正化に向けた取組を推進するとともに、施設の効率的・効果的な維持管理と長寿命化を図るため「出雲市公共施設等総合管理計画」を策定します。2.計画期間等
本計画の計画期間は、平成28年度から平成57年度までの30年間とします。ただし、計画の内容については、必要に応じ見直しを行います。