出雲市議会の環境経済常任委員会では、平成27年(2015年)10月13日~15日の3日間、埼玉県、長野県、石川県へ赴き、「ごみの熱処理施設についての現地視察」「産官学連携による地域産業振興」「地元農産物の地産地消と取り組み」に関する視察研修を行いました。
- 視察名
- 環境経済委員会 行政視察
- 視察期間
- 平成27年(2015)10月13日(火)~15日(木)
- 参加メンバー
- 出雲市議会 環境経済常任員委員会
伊藤 繫満(委員長)/湯淺 啓史(副委員長)/井原 優/飯塚 俊之/松村 豪人/板倉 一郎/長廻 利行 - 視察先及び調査事項
-
- 埼玉県さいたま市桜環境センター
→ ごみの熱処理施設についての現地視察 - 長野県上田市AREC(エーレック)
→ 産官学連携による地域産業振興に関する調査 - 石川県白山市
→ 地元農産物の地産地消と取り組みに関する調査
- 埼玉県さいたま市桜環境センター
研修概要
- 日時
- 平成27年10月13日
- 研修内容
- ごみの熱処理施設について → 詳細
- 場所
- 埼玉県さいたま市桜環境センター
- 日時
- 平成27年10月14日
- 研修内容
- 産官学連携による地域産業振興 → 詳細
- 場所
- 長野県上田市 AREC(エーレック)
- 日時
- 平成27年10月15日
- 研修内容
- 地元農産物の地産地消と取り組み → 詳細
- 場所
- 石川県白山市役所
ごみの熱処理施設についての現地視察
- 日時
- 平成27年10月13日 14:00~16:00
- 場所
- 埼玉県さいたま市桜環境センター
- 説明者
- さいたま市環境局施設部 堀内二郎部長
- 研修内容
さいたま市桜環境センター 概要
事業方式:DBO方式(PFIに類似した事業方式の一つで、公共が資金調達を負担し、設計・建設、運営を民間に委託する方式)
事業期間:設計・施工 H22/6~H27/3
維持管理運営 H27/4~H42/3(15年)
事業内容:熱回収施設、リサイクルセンター、管理棟の建設
(旧埋め立て処分場、旧し尿処理施設解体撤去)
包括委託:株式会社エコパークさいたま
熱回収施設
シャフト炉式ガス化溶融炉方式
発電、溶融物からメタル・スラグを改修し再資源化
処理規模380t/日
発電出力8,500kw
リサイクルセンター
アルミ缶、スチール缶、ペットボトル、食品包装プラスチックほかを再資源化
施設規模91t/日
管理棟
1F~2F環境啓発施設
3Rディスカバリーハウス、3Rマーケット、3Rカフェ
3F~4F余熱体験施設
露天風呂、ウォーキングプール、レストラン
発生熱による発電、アルミ缶、スチール缶、ペットボトル、食品包装プラスチックほかを再資源化に加え、発生熱を利用した余熱体験施設を有料で提供している点が特徴と言える。
DBO方式の事業とのことで、公共が資金調達を負担し、設計・建設、運営を民間に委託するかたち。
シャフト炉式ガス化溶融炉は2基で稼働しており、市内の他の施設とも連動しながら、点検や整備にも対応し、休止が無いように運用されているとの事。
産官学連携による地域産業振興に関する調査
- 日時
- 平成27年10月14日 9:30~11:30
- 場所
- 長野県上田市 AREC(エーレック)信州大学繊維学部キャンパス内
- 説明者
- ARECセンター長 岡田基幸 専務理事
- 研修内容
産学官連携を推進する AREC 一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター
【経緯】
- 1963年7月 財団法人上田繊維科学振興会として設立
- 2013年4月 一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンターに移行
【運営】
AREC(上田市産官学連携支援施設)
竣工:2002年2月
室数:18室(共同研究室 18室*72,000円*12ヶ月=15,552,000円)
AREC・Fiiプラザ
設立:2000年8月
会員数:法人会員208社・賛助会員48団体(2015/10現在)
年会費:50,000円(法人会員 50,000円*203社=10,150,000円)
産官学コーディネーター 6名
アドアバイザー 11名
年間予算 約2600万円
活動内用
リレー講演会/先進企業見学会/情報提供/ものづくりパートナーフォーラム/展示会見学ツアー/各種研究会/技術研修会・セミナー
AREC(上田市産官学連携支援施設)は、信州大学繊維学部(上田市)のキャンパス内に上田市が施主として建てた施設。
レンタルラボが18室あり、その家賃収入がARECの財源の約半分。
AREC・Fiiプラザは、上田商工会議所の機械・金属部会の役員企業(36社)からスタートし、市内外、県内外を問わず200社を越える企業が参加。
年会費がARECの財源の約半分。
ARECの建物の隣に、信州大学のビジネスインキューべーション施設(42室)があり、併せて満室状態。新商品開発や研究の拠点となっている。
会員企業は、産官学コーディネーターやアドアバイザーが相談に対応してくれるメリットがあり、ここから生まれた新商品が既に実績として多数存在する。
そのほか、講演会、先進企業見学会、フォーラム、展示会見学、研究会、研修会・セミナーを通して、産官学連携が着実に推進されている点が大いに参考にすべき点。
ARECのセンター長 岡田基幸 専務理事は、元上田市の職員であり、信州大学繊維学部特任教授(工学博士)の顔を持つ。
お話を伺うと、この方を中心に幾つもの連携が生まれている様子。
施設や組織も重要だが、そこで中心となる「人」がどれだけ重要かがよくわかる事例であった。
出雲市の場合、産官学の掛け声に見合う成果が現れていないと感じている。
参考にすべき点を取り入れ、場合によっては、NPO法人21世紀産業支援センターのてこ入れも必要と考える。
地元農産物の地産地消と取り組みに関する調査
- 日時
- 平成27年10月15日 9:30~11:30
- 場所
- 石川県 市原市役所
- 説明者
- 産業部地産地消課 出口和子課長
- 研修内容
白山市には産業部に「地産地消課」が設置されていことが特筆できる。平成21年4月新設に新設された課との事。
【地産地消に関する主な取り組み】
■情報発信の強化
- ホームページ「食育・地産地消 まるごと!はくさん!」の設置
- 「地産地消ガイド」の作成、配布
- 広報誌「はくさんへ」の特集掲載
- 「まちかど市民講座」などの活用
- 地産地消優良活動調査報告会
■推進体制の整備
- 地産地消推進会議の設置
- アンケート調査の実施
- 地産地消計画の策定(白山を食べる) 第一次H22~H26 第二次 H27~H31
■食育活動の推進
- 幼児料理教室の開催
- 早寝 早起き 朝ごはん 運動の展開
■食農教育の推進
- 生産者との交流会の開催
- 親子生産物収穫体験ツアーの実施
■学校給食への地元食材導入推進
- 地元こしひかり一等米の導入
- 地元農林水産物の積極的な導入
■地元農林水産物消費拡大の推進
- 地産地消簡単レシピ公募 審査会の実施
- 一日おにぎりカフェの開催
- 郷土料理 伝統料理の伝承
- 地産地消 食の商談会の開催
- マルシェ ド ハクサン の開催
■地元農林水産物の活用促進
- 地産地消推奨店の募集 登録
- 地産地消推奨店スタンプラリーの実施
■生産者等との交流促進
- 地産地消推進交流会 の開催
■ブランド化の推進
- ブランド認証協議会 を設立
- ブランドマークの商標化
■市民意識の啓発
- 食育フォーラムの開催
- 地産地消講演会 の開催
地産地消課が所管するの年間事業予算は、約500万円との事。
「地産地消 食の商談会」「地産地消推奨店の募集 登録」「地産地消推奨店スタンプラリー」など,ユニークな事業を展開すると共に、地産地消推進会議を組織して、横の連携を強めているのが特徴。
地産地消計画が策定(白山を食べる)策定され、第一次計画(H22~H26)の後、本年度より第二次( H27~H31)が実施されている。この計画は、育む(生産)・つなぐ(流通)・いただく(消費)の3つの柱が掲げられている。