出雲市議会の議会運営委員会では、平成27年(2015年)10月26日~28日の3日間、埼玉県坂戸市議会、千葉県流山市議会、千葉県市原市議会に赴き「予算審査様式に関する調査」「議会の機能強化(常任委員会の活性化)」に関する視察研修を行いました。
- 視察名
- 議会運営委員会 行政視察
- 視察期間
- 平成27年(2015)10月26日(月)~28日(水)
- 参加メンバー
- 出雲市議会 議会運営委員会
川上 幸博/山代 裕始/湯淺 啓史/神門 至/寺本 淳一/渡部 勝/福島 孝雄/保科 孝充/板垣 成二/小村 吉一 - 視察先及び調査事項
-
- 埼玉県坂戸市議会
→ 予算審査様式に関する調査 議会の機能強化(常任委員会の活性化)に関する調査 - 千葉県流山市議会
→ 予算審査様式に関する調査 議会の機能強化(常任委員会の活性化)に関する調査 - 千葉県市原市議会
→ 予算審査様式に関する調査 議会の機能強化(常任委員会の活性化)に関する調査
- 埼玉県坂戸市議会
研修概要
- 日時
- 平成27年10月26日(月)
- 研修内容
- 埼玉県坂戸市議会→ 詳細
- 場所
- 埼玉県坂戸市役所
- 日時
- 平成27年10月27日(火)
- 研修内容
- 千葉県流山市議会 → 詳細
- 場所
- 千葉県流山市役所
- 日時
- 平成27年10月28日(水)
- 研修内容
- 千葉県市原市議会 → 詳細
- 場所
- 千葉県市原市役所
埼玉県坂戸市議会
- 日時
- 平成27年10月26日 14:15~16:15
- 場所
- 坂戸市役所
- 説明者
- 加藤則夫 議長
議会事務局 谷津宣之局長/荻野 進課長補佐 - 研修内容
予算審議方式
- 一般会計は予算決算常任委員会で審議
- 特別会計は所管の各常任員会で審査
【経緯】
- 予算、決算とも各常任委員会へ分割付託していた
- H18年の地方自治法改正の趣旨に沿った委員会制度に改める事について検討
- H22年6月議会から、予算常任委員会と決算常任委員会を設置
- H26年6月議会から、予算常任委員会と決算常任委員会を予算決算常任委員会に一本化し、常任員会に対応する分科会を設置して予算・決算の審査を行う
【予算審査の流れ】
- 本会議(開会日)
…議案の上程から提案理由説明 - 本会議(質疑・委員会付託)
…議案に対する質疑、予算決算常任員会へ議案の負託
…議長と監査を除く全議員が予算決算常任委員会に所属 - 予算決算常任委員会(1回目)の開催 (②と③は同日)
…常任委員会に対応する分科会を設置(分科会長は常任委員長)
…最初に全体で質疑し分担付託する - 各常任委員会(予算決算委員会分科会)の開催
…分科会にて審査する - 予算決算常任委員会(2回目)の開催
…分科会委員長報告・質疑・討論・採決 - 本会議(最終日)
…予算決算常任委員長報告・質疑、討論、採決
【メリット】
予算及び決算の審査を常任委員会で行う事により、委員にとって予算及び決算に対する継続性が図られ、総合的なチェック機能が見込まれる
議会の機能強化について
【議員間討議】
各委員会で実施
申し合わせ事項
- 議員間討議は、質疑のあった議案等について行う
- 議員間討議は、休憩中に行う
- 議員間討議は、人数にかかわらず、その求めに応じる
- 討議に当たっては議案等の内容を越えてはならない
- 議員提出議案は、提出者、請願書は紹介議員、陳情等は委員外議員も含めて行う
- 執行部に発言を求める場合、質疑ではなく説明にとどめる
委員会の審査手順
- 委員長は議案等に対する説明を求める
- 質疑に入る
- 質疑を終結する
- 委員長は休憩を宣言する
- 委員長は、委員に対し議員間討議を行うか否かを確認する
-委員会討議を行う事となった場合- - 議案等に対する委員間討議に入る
- 議員間討議を終結する
- 委員長は再会を宣言する
- 討論に入る
- 討論を終結する
- 採決する
特徴
委員会の休憩中に行う事となっており、議事録等は残さない
【議会の事業評価】
評価主体
- 予算決算常任委員会の各分科会が担当する
(議案審査ではないので、実質的には予算決算常任委員会の協議会で実施)
対象事業の範囲と選定
- 国や県の受託事業を除く一般会計事業の中から、各員会所管中3事業を選定
(選定は各会派からの要望で決定、多数で調整がつかない場合は投票等も取り入れる)
評価方法
- 評価結果のとりまとめ、法区書の作成は9月議会中に行い、議長に提出すると共に全議員に報告
- 評価シート等を作成して委員会で審査
- 今後の事業の方向性を議会評価として選定
1:拡充/2:現状のまま継続する/3:改善・効率化し継続/4:見直しの上縮小する/5:終期設定し終了/ 6:休止/7:廃止
評価報告書の取り扱い
- 議長は、この報告書を速やかに市長宛提出する
評価1~評価3までのものが大半だが、評価5=終期を設定し終了との評価が付けられた事業あり。
これらの議論は各常任委員会が日常的に取り組むべき事柄であると感じた。
制度として設けるか、委員会の運用として行うかであり、委員長が委員に評価対象としたい事業を募り、選定して行う事は、現在の出雲市議会の運用でも充分に可能であるとかんじる。
坂戸市の事例を参考に、今後是非検討すべき事柄である。
【議会報告会】
H23年から実施
H23=1回実施
H24=1回実施
H25=2回実施
H26=2回実施
H27=4回実施(予定を含む)
問題点
- 年々、参加者が減少傾向
- 報告会と言えども、参加者からは質問や意見が出るので、その対応を統一する必要がある
千葉県流山市議会
- 日時
- 平成27年10月27日 13:30~15:30
- 場所
- 流山市役所
- 説明者
- 説明者:徳増きよ子議員/斉藤まり議員
- 研修内容
予算審査方式
一般会計は、特別委員会を設置して審査
一般会計補正予算は、総務委員会で審査
特別会計・企業会計は、所管の常任員会で審査
特別会計・企業会計の補正予算も所管の常任員会で審査
【経緯】
- 予算、決算とも各常任委員会へ分割付託していた
- H18年の地方自治法改正の趣旨に沿った委員会制度に改める事について検討
- H22年6月議会から、予算常任委員会と決算常任委員会を設置
- H26年6月議会から、予算常任委員会と決算常任委員会を予算決算常任委員会に一本化し、常任員会に対応する分科会を設置して予算・決算の審査を行う
【一般会計予算審査の流れ】
- 議案上程(本会議初日開会日)・特別委員会設置・委員会付託
- 委員会審査(4日目に総括質疑)
- 委員会採決
- 委員会における指摘要望事項の協議
- 本会議採決
- 指摘要望事項を市長に提出
各会派から予算・決算審査に際して、執行部への指摘要望事項を提出されている。
各会派から提出された指摘要望事項から、委員会で協議し、全会派一致できたものを「議会全体の合意事項」として別途、市長に提出との事。
議会の機能強化
【議員間の自由討議】
- 委員会審査時に委員が動議を提出してから行う
- 議論の過程は公開し、委員の発言は議事録に掲載される
- 本会議では実施しない
【反問権の行使状況】
- 本会議のみで可能
【議会報告会】
- 年2回 予算時 決算時
【その他】
プロジェクタの使用
- 一般質問時に、プロジェクタの使用が認められている
- 原則として、スライドは議員が作成氏、事前に議会事務局にスライドを提出する事(スライド数は一人10枚までの制限あり)
議員間の自由討議が公開され、議事録も残る点が特徴的ではないかと感じた。
ただ、一部の議員に引きずられて委員会の議論が深まるどころか、間延びする事、くり返しの議論が起こる事も懸念される。
一般質問時に、資料としてプロジェクタの使用が認められている点は、大いに参考にすべき点だと感じた。
例えば道路の路線名を口頭で伝えてもわからないが、地図を用意してスライド映写すれば簡単に場所が伝わる。また、施設名を言ってもイメージができない場合、危険箇所や修繕すべき点を指摘する際も、具体的にどのような状況かが伝わると感じた。
すぐにでも検討をし、出雲市議会にも取り入れるべきである。
千葉県市原市議会
- 日時
- 平成27年10月28日 9:30~11:30
- 場所
- 市原市役所
- 説明者
- 議会事務局議事課 佐久間課長/藤田課長補佐/武内係長
- 研修内容
予算の審査方法
当初予算
・全議員が所属する予算審査特別委員会を設置
・常任委員会別の分科会で分割審査
補正予算
・一般会計は総務常任委員会で審査
・特別・企業会計は所管の常任員会で審査
決算
・決算は10人で構成される特別委員会で審査(分割審査はしない)
3月議会の取り扱い
・3月議会は予算議会との位置付け 一般質問はなし
【予算審査特別委員会について】
- 委員長は議会運営委員会の正副議長
- 特別委員会に常任委員会を単位とする分科会を設置
- 特別委員会冒頭の市長質疑は行わない(市長の予算編成方針は代表質問で)
- 特別委員会最終日に分科会報告、統括質疑並びに意見の陳述(統括質疑は通告制)
- 統括質疑と意見の陳述に会派持ち時間制を導入(3人以上の会派45分、2人会派30分)
日程
- 分科会毎の審査=4日間
- 全体会(分科会報告)=1日間
- 全体会(総括的な質疑・意見の陳述・採決)=1日間 合計6日間
質問時間
- 会派持ち時間制(委員一人あたり40分)
質疑の順番
- 大会派順
市長質疑
- 行わない
総括質疑及び意見陳述
- 会派持ち時間制(3人以上の会派45分、2人会派30分)
メリット
・常任委員会の活性化、専門性の向上
・効率的な審査
デメリット
・審議時間短縮の傾向
・分科会での内容量に差がある
市原市議会の予算審査に於いて特徴的であったのは次の事柄ではないか
- 予算決算特別委員会に於いて、会派持ち時間制が導入されている事
- 3月議会は予算議会との位置づけから一般質問は行わない事
- 市長の予算編成方針は代表質問でとの位置づけから特別委員会冒頭の市長質疑は行わない事
委員会審査での会派持ち時間制は、議論が間延びすることと、くり返しの議論の防止という観点から、一考に値すると感じた。