平成25年10月2日~4日の3日間、市議会の総務常任委員会で新潟県上越市、東京都目黒区、埼玉県草加市へ赴き視察研修を行いました。
- 視察名
- 総務常任委員会行政視察
- 視察期間
- 平成25年(2013)10月2日~4日
- 参加メンバー
- 飯塚 俊之(委員長)/遠藤 力一(副委員長)/岸 道三/湯淺 啓史/小村 吉一/多々納剛人/宮本 享/長廻 利行
- 視察先及び調査事項
- 新潟県上越市:公の施設の再配置計画・施設等除却計画について
東京都目黒区:指定管理者制度について
埼玉県草加市:自治基本条例について
研修概要
新潟県上越市:公の施設の再配置計画・施設等除却計画について
- 日時
- 平成25年(2013)10月2日(水)
- 場所
- 上越市役所
- 研修内容
-
平成19年4月に、合併により特例市となった上越市は、人口約20万人、面積は東京都のおよそ半分、約70%が中山間地域となっており、自治区制度を導入している。 平成20年に「公の施設の統廃合計画」がスタートし、平成23年からは、「公の施設の再配置計画」「公の施設等除却計画」が実施されている。
■統廃合計画
- すべての公の施設 =998施設
- 統廃合の検討を要する施設=527施設
- 当面現状維持とする施設 =471施設
★5つの抽出条件により115施設をピックアップして個々の評価
- 年間施設維持管理費における利用者一人当たりの一般財源投入額が2,000円以上
- 年間施設維持管理費における一般財源投入額が1,000万円以上
- 年間利用者が500人以下
- 耐震診断の結果、耐震指標を満たしていない
- 耐用年数経過後10年以上経過
結果
- 廃止予定施設 = 25施設(23施設廃止済 H25.9末)
- 譲渡・貸付予定施設 = 12施設(1施設譲渡済 H25.9末)
■再配置計画
【評価項目】
- 安心・安全 … 災害時などにおいて利用者の安全・安心を確保できるか
- 市民ニーズ … 利用実績や利用動向からみて市民ニーズに合致しているか
- 機能集約 … 近くに同じような施設があり集約が可能ではないか
- 収支・コスト… 公の施設とはいえ維持管理費が過大ではないか
【カテゴリ分け】
- 現状維持カテゴリ … 28カテゴリ 336施設
- 再配置検討カテゴリ… 27カテゴリ 476施設
- 譲渡検討カテゴリ … 10カテゴリ 179施設
【評価】
評価基準・配点を行い、個々の施設を評価
※配点の基準が明確に示されており、評価結果はすべて公開されている【結果】
- 再配置23施設
- 譲渡30施設
(H25.9現在)
■除却計画
【評価基準による評価】
- 市民の安全(危険度・避難所・防犯上の懸念)
- 市民への影響
- 維持経費等
- ※配点の基準が明確に示されており、評価結果はすべて公開されている
- ※配点により優先順位を決定
対象は47施設 → H24年度までに完了したもの18施設
※「住民の理解が得られない為、再配置や除却がスムーズに行える状況ではない」との事だが、評価項目・評価基準・配点等を定め、その基準にそって検討を行っていくことを周知し、検討結果はすべて公表していく方法は大いに見習うべきと考える。
東京都目黒区:指定管理者制度について
- 日時
- 平成25年(2013)10月3日(木)
- 場所
- 目黒区役所
- 研修内容
-
現在、学校施設等を除く364施設中120施設に指定管理を導入
施設で実施する事業の充実と効果的・効率的な運営を目的に、適切なコストでサービスの質の維持・向上が可能なものを対象として、
・H18年4月に93施設で導入
・H18年に導入した施設が21年3月に期間満了となる事に伴い改善- 公募を例外とする場合
外部有識者を加えて透明性を高める - 運営評価については
外部有識者を加えて透明性を高める - 指定期間
維持管理が中心の施設=3年
人的サービスや事業企画中心の施設=5年
利用者との信頼関係構築に時間を要する施設=10年 - 選定体制
管理者選定評価委員会を区長の諮問機関として設置 - 選定結果の公表
区報・Webサイト - 運営評価委員会
- 管理者の自己評価
- 施設所管課の一次評価
- 運営評価委員会の二次評価
- 評価結果の報告
所管部局→区長 議会報告 - 評価結果の公表
Webサイト
■制度導入・運用改善による効果等
- サービス水準の拡充、管理水準や利用者満足度の向上
- H18~20の3年間で14億円を上回る節減
- 福祉施設等の指定期間を10年にしたことにより、指定管理者が優秀な人材確保と育成期間を確保しながら長期的に安定したサービス提供をしていく基盤整備ができた
- 選定委員会、運営評価委員会ともに、第三者(学識経験者等)を加え、透明性を高めている点、また選定結果、評価結果ともに公表している点は、大いに参考にすべき点と考える。
- 福祉施設等で、指定期間を10年にした事は、人材確保と安定したサービス提供につながると思われる。
- 逆に、社会状況の変化などへの対応や、指定時点では想定していない事項への対応などには不向きと考えられる。
- 公募を例外とする場合
埼玉県草加市:自治基本条例について
- 日時
- 平成25年(2013)10月4日(金)
- 場所
- 草加市役所
-
平成11年に「まちづくり総合条例検討委託事業」として、スタート
- パートナーシップまちづくり条例立案
- まちづくり基本条例立案
- まちづくり手続条例立案
平成16年10月「みんなでまちづくり自治基本条例」施行
条例に基づいて、「みんなでまちづくり会議」「地区まちづくり推進事業」「ふるさとまちづくり応援基金」の各事業が実施されている。■みんなでまちづくり会議
- まちづくり登録員(131名 個人93,団体35)は、みんなでまちづくり会議の場で事業提案が可能
- みんなでまちづくり会議、定例会議を年4回開催
- 議題(提案)を市へ提案 → 市が検討し施政に反映する
これまでに10回の定例会が開催され、4件の提案の受け3件の事業反映
■地区まちづくり推進事業
- 地域の住民が主体となって、行政とともに地域のまちづくりを進める
( ○○まちづくり市民会議 □□まちづくり協議会 △△まちづくり部会など)
■ふるさとまちづくり応援基金
- 自治基本条例に基づき設置、市を舞台に非営利の活動を行っている団体の事業に対し活動の初動期助成を行うもの
- H16~24年度までの9年間で、198団体に対し、95,153,390円を助成
- 書類審査、公開プレゼンテーションによる審査
みんなでまちづくり会議からの提案が、これまでのところ4件である事や、まちづくり登録員が131名である事などから、条例への関心がやや低く、条例に基づく施策が今ひとつ浸透していないのではないかと考えられる。
「市民の市政への参加」という点では、「みんなでまちづくり会議」「地区まちづくり推進事業」「ふるさとまちづくり応援基金」など具体的な施策が動いており、住民投票以外でも条例の精神が具体化できる事を示していると感じた。