平成25年(2013年)4月の選挙で、出雲市議会議員として初めて当選した8名は、会派を超えて定期的に集まり、研修会・意見交換会等を開催しています。新人議員といっても年齢は幅があり48歳から72歳、所属する会派もバラバラという状態ですが、互いに研鑽し刺激しあう良い関係が保てていると思います。
毎議会前後で日程調整して行っていますが、今回は去る1月13日(2015年)に開催されました。今回で7回目の開催となり、斐川町の「いりすの丘」を見学した後、意見交換を行いました。
出雲いりすの丘公園の概要
今回の視察は閉園状態の出雲いりすの丘公園の現状を把握するためのもので、神門議員のお世話で実現しました。斐川支所長の錦織支所長に同行をいただき、現地・施設を見ながら説明をいただきました。
- 平成10年10月~12年3月
株式会社ファームのコンセプトとノウハウによる農業公園として、旧斐川町が単独事業で造成した土地に、農林水産省の補助金を受けた農業体験加工販売施設と町単独事業の温泉施設、(株)ファームが運営する遊園施設を整備 - 平成12年4月
出雲いりすの丘公園オープン
公園面積:約26ha、総事業費:約35億円
農業体験加工施設、健康センター施設
目的:
1、斐川町農業に新たな観光を取り入れて6次産業化を目指す
2、地元農産物に加工販売による農家所得の向上を目指す
3、日本三大美人の湯・湯の川温泉を活用し町民の健康づくりの拠点を目指す - 平成20年3月
(株)ファームが経営不振を理由に平成20年3月末をもって経営離脱温泉以外の公園部分は実質休園状態で経営 - 平成21年より
公園内にある11補助施設中7施設を指定管理制度で管理運営
その後撤退もあり、4施設が直営、3施設が指定管理制度で管理 - 平成23年10月
出雲市と合併 - 平成24年3月
「出雲いりすの丘再生マスタープラン」を策定 - 平成26年3月
山陰経済研究所から「再生方針にかかる調査業務」の報告
閉園の原因は来場者の減少による経営不振。国庫の補助事業で整備した部分が多く、他への転用を行うと補助金返還が発生することから手つかずのまま放置されている状態。民間からの提案も幾つかあったようだが、この点がネックとなり前へ進めないジレンマがある。
この補助金は、日本におけるウルグアイ・ラウンド合意の影響を緩和するため、事業費6兆100億円、国費2兆6,700億円のウルグアイラウンド農業合意関連国内対策事業費を活用したものという。
UR関連対策予算の措置状況と対策事業費の内訳(農林水産省Webサイトより)
- ウルグァイ・ラウンド(UR)農業合意の国内農業への影響を緩和するため、UR関連対策を実施(平成6年度補正~平成13年度補正、事業費6兆100億円、国費2兆6,700億円)。
- 対策事業費の内訳としては、農業農村整備事業(公共)が53%。そのほかの事業(非公共)の中で農業構造改善事業等が全体の20%、土地改良負担金対策が4%、施設整備等に対する融資事業が14%等。
ウルグァイ・ラウンド(UR)農業合意の国内農業への影響を緩和するための事業(補助金)と聞いて、実際に現地に立つと大きな違和感を感じざるを得ない。交渉合意によって受ける影響の緩和は日本の農業の基盤整備・競争力強化が目的であったのではないだろうか。「観光を取り入れた農業の6次産業化」の結果が農業の基盤整備・競争力強化に結びつかなかった事実を重く受け止めなくてはならない。